こんなときはトラブルが起こりやすい!? 遺言で対策をしましょう。
次のような場合には、被相続人が亡くなった際に、遺産を巡ってトラブルが起きやすいと言えます。
相続ならぬ「争族」とならないように、遺言書を使って、事前に対策をし、相続人たちがトラブルを起こさないで済むようにしておきましょう。
① 子どもがいない場合
例えば、妻を残して夫が亡くなり、夫婦の間には子どもがいない場合には、夫の父母か、父母が既に他界している場合には、その兄弟姉妹が相続分を持つことになります。
夫が絶縁状態にあったような兄弟姉妹から急に妻に対して相続分の主張をしてきたら・・・
これは、遺言書で解決できる問題です。
② 婚外子がいる場合
2013年9月の最高裁判決により、婚外子であっても、結婚している夫婦にできた子と同一の相続分(原則として2分の1)を持つことが事実上決定されました。
そのため、亡くなった夫の妻や嫡出子と、婚外子とが、夫の死亡後に相続分で揉めたりすることのないように、遺言書を使って手当をすべき場面もあるでしょう。
③ 内縁の妻の場合
内縁の妻には相続権がないとされています。したがって、内縁の妻に相続させたい場合には、遺言書を作成しておくことが重要です。
④ 事業を特定の人に承継させたい場合
被相続人が会社経営などをしていて自社株を保有している場合、これも相続財産として、相続されてしまいます。
したがって、遺言書がないと、被相続人が事業を承継させたかった者に株式をすべて与えることができず、株式が複数の法定相続人に分散してしまうことがあります。
そして、株主(相続人)同士が揉めることがあると、支配権がゆらぎ、会社経営の存続自体が危ぶまれることになりかねません。
⑤ 「家は息子に、預金は娘に」と相続させる財産を指定したい場合
遺言書がないと、各相続財産について相続人が法定相続分の割合で相続するというのが原則であるため、被相続人の生前の考えのとおりに財産を承継させることができない場合があります。
先祖から引き継いだ家を長男に守ってほしいと思っていても、遺産分割で揉めることがあれば、売却されてしまうかもしれません。
遺言書できちんと、何を誰に相続させるかを書いておけば、このようなトラブルを回避することができる場合があります。
(文責:弁護士菊地)